個人の変革に際してのCCIのアプローチ

キャリアビジョンプログラム

40代管理職を対象に1泊2日のキャリアアップ研修を実施した。

当初、その会社の担当者からのオーダーは、「コンプライアンス体制の強化」のプログラムであった。CCIの最終目的は「組織としての具体的成果」を出すことであるが、企業の戦略実行段階では、その組織を構成している一人一人が「本当にやりたいと思っているのかどうか」という内在的価値観が大きく影響してくる。特にコンプライアンス問題においては、「チェック機能を持った組織構築」や「個人の法律知識の取得」以前に、「個人の生き方」に焦点を当てたプログラムが必要なときがある。

その会社においても、抱えている問題状況を伺っていくと、背景として、成果主義導入により、長期的視点や全体思考が欠如し、帰属意識も減退しているという要因があることがわかった。そこで、プログラム全体のキックオフ研修として、「個人のキャリアアップビジョンを明確すること」を第一ステップに決定した。

キャリアアップビジョンの明確化

example_1.gif 一般的に「キャリアアップ」と言うと、自分の「強み・弱み」を客観的に分析をして、次のステップに進むための強化ポイント(知識・資格・ネットワーク構築・等)明確にするというパターンが多い。しかし我々のアプローチは全く違う。 キャリアアップとは、「自分の職業上の望ましい姿」を明確に置いた時、「"今・この場"にある自分の影響力をどのように広げていくか」という概念を根底に置いている。 それは次の理由による。

  1. 一般的キャリアアップの考えでは、人生の本番は「この先」にあり、「今・この場」はリハーサル・準備期間である、ということになってしまう。つまり、「今・この場における当事者意識(ファイナル意識)」が無くなる。
  2. いくら資格や知識を身に付けても、「それを使って何らかの影響力を発揮する」ということと結びつかない限り、それはキャリアアップとは言わない。
上記のような考えを基に、今回の研修のスタートでは、まず自分と家族の50年後までの年表を作成してもらった。これは、「人生にも仕事生活にも厳然と限りがあること」を真剣に考えるためである。

コ ンサルタントからの問いかけと仲間との共有化の中で、受講生に様々なオモイが沸いてくる・・・。「自分のこれからの一生はたったA3の用紙1枚に全て収 まってしまう。」「子供が独立するまでの、家族で一緒にいられる時間はほんの数年しかない」「年老いた両親に親孝行できるのは後何年だ?」「限りある自分 の人生の中で、今、本当にやりたいことは何なのか?」

こうして個人の価値観を明確にした後に、「自分自身の達成感を得るための現実の職場課題」を話し合い、明確にしていった。

「個人としての達成感」と「仕事における達成感」を切り分けて考えるキャリアビジョン研修も多いが、1日の大半を過ごす「仕事」において「個人としての達成感」を感じないで、人生の達成感を感じることができるでありえないと、CCIでは考えているからである。


「キャリアビジョンの確立」

最後に、職場課題を解決しながら自分のキャリアアップを図るために、どのように影響力を発揮していくかを実践的に身に着けるワークを行なった。自分の自我 状態を動かしながら、相手との「望ましいコミュニケーション」を作り上げることへの挑戦である。この実習でも架空のケースは使わない。あくまでも現実に存 在し、受講生が直面している「生」の問題をベースにしていく。 こうして、「自分の内在する価値観をベースにしながら、現実の職場課題に対峙し、影響力を発揮していく」という、本当のキャリアビジョンの概念が確立されていった。

終 了後、ある受講生がこう話してくれた。「キャリアビジョン研修って、シートに印刷されている問題を埋めていくと、最後に"あなたの強みは?で、弱みは?で す。したがって、こんな方向が合ってます"って答えが出てくるようなものかと思っていました。でも違うんですね。自分の"○○がやりたい!"っていう強い オモイを根底において、現実問題に対峙しながら影響力を広げていくことがキャリアアップなんですね!」

もちろん、この会社のコンプライアンス体制構築については、ここで終わるわけではない。しかし、管理職個々人が、自分の内在的価値に気づき、組織課題を自分と紐付けながら考えていく規範ができた意味で大きな一歩となったのだ。