戦略構築プログラム

次世代リーダー育成に向けて

先日、ある人事担当者から「次世代リーダーを育成したい」という相談を頂いた。数年前から検討し、社内でプロジェクトチームを結成し現状分析と改善提案について話し合いを行ってきていたが思うようにいかず困っているとのことであった。

当初考えていたのはMBA的な研修や外部セミナーへの参加により知識・スキルの向上を図ることであったが「今のうちに必要なことはそれだけなのか?」という問いかけに対して答えが出ず、CCIに相談をしてみようということらしい。

最初に話し合ったのは「最終的にどういったリーダーを求めているのか?」ということである。知識・スキルは確かに必要であるし重要だが、そこからスタート ことが現在の状況にマッチするかどうかを検討する必要がある。

次世代リーダーに対して組織として何を期待し、何を求めているのかが明確でなければ意味がない。

幸い、社長からの期待は明確であったため、現場・経営陣からのヒアリングは必要なかった。社長は『今の状態を維持し、継続させていくことは現状で十分可能である。しかし5年、10年先を見たときにこのままでは危険だ。彼らには5年、10年先を見据えた戦略策定を行い、現場で実践できる人材になってほしい。』という期待を持っていた。

「知識・スキル<当事者意識と実践力」

example_2-1.gif そこで我々は本件のOUTPUTを『これまでの戦略や事業構造にとらわれない、中長期的な視点に立ったビジョン構築・戦略策定スキルと現場実践力の修得』としスタートすることが決定した。

次に検討したのは本件のポイントについてだ。戦略を軸として運営していきたいが、財務などその他についてもフォローする必要がある。また単なる知識・スキルの修得だけではなく、現場での実践力も強化する必要がある。

そこで全体を通してのポイントとして「ケースや事例を中心とした構成ではなく、知識・スキルの修得を意図としながらも現実の自社の状況を分析し、戦略を構築することで研修ではなく戦略ミーティングの意味合いを強くすること」である。

同業他社や業界の事例はケースとしてはわかりやすいが「他人事」から踏み出すためにワンクッション必要になる。

 現実の組織の戦略を話し合うことでリーダーとして重要な当事者意識を啓発し、現場実践力の向上を図ることも出来るという狙いだ。

研修と現場を分けずに一元論で捉えて運営することが出来るというCCIの強みも生きてくる。



「ビジョン戦略」

example_2-2.gif もうひとつのポイントは展開についてだ。『これまでの戦略や事業構造にとらわれない、中長期的な視点に立ったビジョン構築・戦略策定スキル』とはCCIでいうビジョン戦略をきっちりと固めていくことになる。

ビジョン戦略の事例としてはNTT DocomoのiモードやQBハウスが上げられる。従来の発想・概念・枠組みをはずした戦略の考え方だ。10年前に携帯電話でインターネットが使用できるようになると誰が考えたであろうか。

しかしその前段として戦略策定の基本概念の考え方をマスターしていないと単なる考え方の勉強会で終わってしまう。

さらに次世代リーダーとして必要な財務などの知識も組み込む必要がある。そういったことを加味し下記の展開でスタートすることを決定した。

STEP1: 基本的な戦略策定概念にそった戦略ミーティングの実施。 example_2-3.gif
STEP2: 戦略ミーティングの成果を現場実践し、振り返り・修正を行う。
STEP3: 5年?10年先を見た時の新規市場開拓のための市場開拓戦略の立案。
STEP4: これらの戦略を実践していくために次世代リーダーである自分たちに必要な知識・スキルの明確化。

上記の展開を基に戦略策定ミーティングをスタートした。本ミーティングでは戦略策定概念図に沿って学習もするが、現実の自社について分析し、OUTPUTとして現実の戦略を策定することから「研修」ではなく、「ミーティング」としてメンバーをアサインした。

オリエンテーション終了後に早速分析を開始する。
外部環境の診断だ。思ったより筆が進まずに四苦八苦しているがなんとか洗い出すことが出来た。

ここでは各々の業務内容によって各項目の量がことなるという状況が生まれた。
営業系のメンバーからは経済状況や市場・顧客に関する項目が数多く挙がる。日々直接接しているからこそであろう。ところが研究開発・技術系のメンバーからは技術革新や技術の変化は大量に書き 出されているが市場や顧客についての項目が少ない。

あるメンバーが発表後に一言「これだけ視点に差があれば部門連携をとるのが難しいはずだ。」とつぶやいたのが印象的であった。
まさにこの一言に外部環境の診断のプロセスが集約させている。

所属する組織が持っている「色眼鏡(観方)」を通してしか観られていないことが明らかになったのだ。この色眼鏡をしっかりと認識し、枠組みを広げることが戦略的思考修得の第一歩となる。

SWOT分析から機会と脅威の抽出へ

続けてSWOT分析を行う。
ところが自社の弱みと競合の強みばかりがピックアップされてしまい、自社の強みが挙がってこない。非常に日本人的な発想と言うべきか。

メンバーも洗い出しの中で徐々に暗くなっていく。「なんかうちの会社って勝てないよね。あの会社に勝てる部分があったらこんな研修やる必要ないよね」といった話が出始めた。

この流れを変えたのはある営業マンである。「この間の案件であそこに勝てたんだよ。何でだろう・・・。」ここから過去に受注した案件・提案中の内容なども含めた分析がはじまった。

思考がポジティブになったことから話の幅が広がりを見せる。
「勝てるはずはない」という発想が思考の枠組みを創りあげていたのだ。
また競合という相手も従来の同業だけではなく、今後絡んでくるであろう企業まで含めて広がっていく。


ここまでくると「機会と脅威の分析」にも力が入る。
しかしすぐに上がってくるのは脅威である。日々の思考がそのままこのミーティングの場に現れている。

だが、先ほどまでのように「勝てるわけないよね」で思考停止をせずに「どうしたら勝てるのか」を必死で考えていく。時間はかかったものの機会が脅威より多く上がってきた。戦略的思考を学ぶ中でメンバーの意識の変化・討議の仕方にも大きな成長が見られるのが頼もしい。


戦略シナリオ策定

いよいよ「機会と脅威」に並ぶ本ミーティングの山場である「シナリオ策定」を行う。

「悲観説」で微妙な雰囲気が漂うグループ。
「楽観説」を描き、意気揚々とし始めるグループと、それぞれがシナリオを描いていく。
各グループの特徴が現れるシナリオが出来上がる。終わった時には「悲観説になることはどんなことをしても避けよう。」「楽観説どれだけ近づけられるか。そのために部門を動かすのが俺たちのミッションだ」といった声が上がってきていた。

この後はシナリオを基に戦略の優先順位付け、戦略におけるリスクマネジメント(不測事態対応計画)を策定し、ツリー手法で具体的な実行計画を描いていく。
ここまでの3日間でこれからの戦略指標がしっかりと組みあがった。

ミーティング終了後に中途のメンバーからコンサルタントに対して、

「戦略って本でも読めるし転職前の会社でも研修で学んでいた。今回もあまり期待していなかったが、自社の仲間同士で現実の戦略分析を行うことがどれだけ重要なことなのかが良くわかった。職場に戻ったら部下も含めてもう一度やり直してみる。」

「戦略の考え方だけではなく、自分たちの考え方、思考の枠組みまで見えてきた気がする。今回の分析結果をどうやって実践していくかが重要ですね」

といった声をかけられた。
まさにその通りである。彼らに求められているのは論理的分析ではない。
実際に成果を出し、次の事業を見据えたビジョン戦略を策定すること求められている。多くの時間はないがミーティング終了後の彼らを見ていて「4ヵ月後のフォローミーティングが楽しみだ」と感じた。