個々の喜びに直結する活動を

2004年6月25日発行「保険情報」掲載

保険情報に掲載された弊社代表大島岳のインタビュー記事です。

株式会社シー・シー・アイとは

株式会社シー・シー・アイは、1986年に大島岳氏(代表取締役)が設立した経営コンサルタント会社。同社では企業に対するコンサルテーションを含め、社員や管理職への教育・講演・情報サービス等を提供してきた。同社の研修プログラムが目指すところは、「パラダイムを変革し、行動する」こと。つまり、パラダイムやスキルを知的理解で捉えず、哲学的背景や行動科学の理論に裏付けられたプログラムから、個々がいかに行動し組織を動かしていくかに重点を置いている。

─ 御社が提供する研修やセミナーの特徴は?

当社は、「組織が変わる」「人が変わる」そのプロセスを徹底的に研究してきました。
そして、常に時代に沿って変革し続ける組織を目指す意識を持つことを目的としたプログラムを作り、研修やセミナーを行っています。

─ そのようなプログラムを確立しようとした意図は?

当社を設立する時に、まず時代認識がありました。今までのように合理性・効率性だけを追求していく企業経営では、いずれ行き詰まってくるだろう。つまり、転換期を迎えるだろうと仮説を立てました。
既存の戦略が通用しなくなった時代に、必要なのは「ビジョンを達成しようとする思いの強さ」です。そこには「組織は社会とどのように関わるか」、その根底として「個人としてどのように価値を生み出したいのか」が問われてきます。
昨今のコンプライアンス問題を見るまでもなく、既に企業には合理性の追求だけでは解決できない問題が山積されているのです。
さらに、認識論のパラダイムシフトが起こってくるだろうという予測もありました。
つまり、「認識した事実」を「存在する事実」として客観的・分析的に解決策を考えても、その認識するプロセスに従来からの意識の枠組みがフィルターとして存在する以上、認識プロセス自体を見直さない限り、本当の解決には繋がらないということです。
また事実を捉えるのは、各々自分の原体験等から生じる主観です。自分のモノの見方や捉え方が本当に妥当なのかどうか問い直し、その主観同士をぶつけ合って組織としての新しい客観性を生み出す作業が必要な時代になってくると思ったことが背景にありました。

─ そのような時代背景を踏まえていない研修が行われていることへの批判もあったのでしょうか?

パラダイムシフトが起こり、社会構造が変化してきた時代には、従来のように手法の向上だけを求めたり、逆にモチベーションアップの提唱をするだけでは企業の発展はありえないということです。
研修で言えば、優秀な営業マンを一人でも多く育てようとした時、トップセールスマンの行動特性を分析し、コンピテンシーを導き出し、それをベースにしたスキル研修を行っている企業が多いようです。しかし実際、研修を受けた人たちにとって使えるものにはなっていなかった。なぜなら、それはトップセールスマンの持っているビジョンや人生目標と一体化したスキルだったからです。ビジョンや目標を持っていない人がいくらスキル研修を受けても、その人のものになるはずもありません。 従って、意識とスキルを一体化しなければ、成果は現れてこないということです。

個々の喜びに直結する活動を

?論理、感情、行動で組織動く?

─ 意識とスキルの一体化を目指した御社の研修を受けたことによって、業績アップに繋がった事例はありますか?

某通信業のグループ会社で外部展開を目指そうという指示が本社から営業マンたちにありました。しかし、ある地方の支店ではそれが軌道に乗らなかった。そのために支店存続の危機に直面してしまい、当社の研修を受けました。
具体的な研修プログラムとして第一に、パラダイム変革研修を行いました。これは社員たちが組織の中でいかに主体的に関わってこなかったのかを気付かせる研修です。
自分の仕事に満足しているのか、仕事が世の中のためにどのように役立っているのか、今まで価値のある仕事をしてきたのかと社員たちに考え抜いてもらいました。
その中で、自分たちが明確なビジョンを持って主体的に行動し、お客さまにインパクトを与えられたと感じた時にお客さまとの信頼関係が生まれていたことに気付きました。そうすると、自分たちは今後どう変わっていかなければならないのかを明確に実感できるようになってきました。

─ 管理職への研修も行ったのでしょうか?

この支店の上司と部下たち合同のオフサイトミーティングを行いました。そのミーティングでは、今後この支店をどう発展させて行きたいのかを、お互いに本音をぶつけ合って話し合いました。
その結果、立場によるモノの見方のギャップを再認識すると共に、支店を発展させていきたいという共通した気持ちを持っていることを互い確認したのです。
それによって意識が改められ、本気で外部展開を成功させていこうという気持ちに変わっていきました。その後は、それぞれどんな役割を担っていくのか具体的な戦略を立てることができたのです。そして、この支店は毎年社長杯を獲得するほどの業績アップを果たしてきました。

─ まさに、組織全体を動かし、変えることができたのですね。

一人で会社を発展させたいと思っても、それはその人ひとりの主観でしかありえません。しかし、その気持ちをみんなが共有化するようになったことで、組織が動き始めたのです。個々が内在的価値に気付いたことに伴い、組織内での期待役割が明確になり、今まで出なかった能力も発揮されてきました。そういった意味では、個人を変えることと同時に企業の体質をも変えることが重要なのです。それが研修プログラムの一番のポイントです。

─ では、今の生保の営業マンを見てどんな感想を持っていますか?

生保の営業マンはトータルライフアドバイザーを標榜しています。しかし、多くの方は実際、「数字ありき」というパラダイムに縛られ、言っていることと行っていることとのギャップがあります。それが営業マン本人の達成感の低下に繋がると同時に業績が苦戦する要因にもなっていると感じます。
ところが、目標観が明確になっている営業マンは、真のトータルライフアドバイザーであることに喜びを感じていると顧客側にも伝わっていますよね。
広く生保の営業マンにお聞きしたいのは、保険営業の仕事は自分自身にとってどんな価値があると思っていますかということです。つまり、自分自身にとって内在的な価値を見いだしているのかどうか。
実際は、会社からの評価やインセンティブなどの外圧的価値に縛られているように見えます。仕事自体が自分の喜びに直結する内在的価値によって活動しているのでなければ、いつまで経っても生保営業のステータスは上がらないでしょう。

─ 価値観以外に重要な要素になるのは何でしょうか?

従来とは違った理想的な活動ができた瞬間とは、その人の感情が発露された時だと思います。
前述したあの支店を例にお話すると、全員が支店を発展させたいという共通の感情を持った瞬間に動き始めました。まさに、論理と感情とが一緒になり行動を起したのです。論理と感情と行動─この3点が揃った時に初めて良い方向に向かって組織全体が動きだせるのです。

さらにレベルアップを

達成感という「内在的価値」の気付きからレベルアップ

─ 業績アップを狙う生保会社への効果的な研修プログラムはどんな内容になるのでしょうか?

やはり、気付きの研修から行います。具体的には、保険営業マンの4つの原点から見ていきます。
つまり「自分自身でこうありたいと思っていること」「実際にお客さまに話していること」「実際に行動していること」「その行動の結果お客さまに与えている影響(インパクト)」─これらにズレが見えるケースが非常に多いのです。
例えば、「いろいろなセールス行程の中で、あなたはどこに一番喜びを感じますか?」と聞くと、「お客さまのためのサービスを提供し、信頼を得ることに喜びを感じる」と本当は考えていたにも拘わらず、現実には「契約をいただいた時」と多くの営業マンは答えます。そこの本質を掘り下げていくと、結局は自分の達成感という「内在的価値」ではなく、会社の評価や報酬額といった「外在的価値」によって行動していることに気付きます。
結果的にセールストークのポイントも、「お客さまに信頼され紹介を頂くこと」よりも「契約をもらう」ことに置いてしまうことになります。
研修プログラムによってそうした自己への気付きを深めた上で、その後は営業に伴う各種意識を深める研修、或いはスキルアップ研修、或いは行動管理等の多様なメニューから個々に選択し、レベルアップを目指していきます。
また、営業マンを統括する立場にある管理職の方に対する研修も同様に、まず内在的価値についての気付きを持っていただきます。その上で、マネジメント・戦略・組織運営等のメニューを選んでいただきます。
現在の生保管理職の方はともすると、部下操縦術の手法に走りがちな気がします。目標数字を下ろすのであっても、その数字の背景にある思いをご自身の内在的価値によって、語れるかどうかが問われているのではないでしょうか。

生保業界の方は、「自分の業界は特殊だから」というお気持ちが強いようですが、それこそが、この業界が今後より発展していくために足枷となるパラダイムだと感じます。前述のような研修プログラムを各保険会社の支社単位、あるいは階層別で行っていけるようなら、当社は生保業界の発展に最大の貢献ができると自負しています。

インタヴュアー:保険情報 樋口様