我々の仕事のスタートは、まず本音を聴き出すことだ。
どんなに論理的且つ前向きな話であっても、建前を言っている限りは組織の変革には繋がらない。
しかし、本音が始まると時として組織の深い闇を見てしまうことがある。
先日、若手社員の話の中から、とんでもないパワハラの事実が出てきた。
あるメンバーが隠していた辛い日々をついに漏らしたのだ。
それは全く理解を超えた非人間的な上司の虐めであった。
聴いていて、その理不尽さに強い怒りを感じた。
実は、私自身のサラリーマン時代にも、今で言うパワハラ管理職がいた。
彼は自分の直接の上司ではなかったが、弱いものに対する執拗な仕打ちは尋常ではなかった。
驚くことに、相手が女性であっても「おまえ逆らうなら殴るぞ!」と声を荒げるような人間だが、なまじっか仕事の成果は出しているためにたちが悪かった。
一度、私の部下に対して暴言を吐いたため、一触即発になったこともあった。
そんな自分自身の体験も思い出しながら、その若手社員の話を聴いていた。
しかしその重苦しい雰囲気の中、別の若手社員がこんな発言をしたのだ。
「自分の部門のトップもとんでもない分からず屋です。でも、逃げていても仕方が無い。
自分は正面衝突して玉砕をしないために、まず仲間と問題意識を共有し、それを他の上司や他の部門を巻き込みながら、仕組みにも手をつけ、時間をかけて、戦略的に部門を変えていったんだ。
今ではその分からず屋のトップは、自分に意見を聴いてくるようになりましたよ。」
彼はさらっと話をしたが、何人もの先輩が辞めていった部署だけに裏側には大変な苦労があったには違いない。
私は、その彼の逞しさに心から感銘を受けた。
「社内政治」というとネガティブなイメージがあるかもしれないが、立場の弱い者が、自分の本当にやりたい職場にしたければ政治的・戦略的に動くことが必要だ。
それは泥臭いけどかっこいいことなんだ。
全国の「立場の弱い若手社員」の皆さん!政治力を使いましょう!
さて、
私自身のサラリーマン時代のパワハラ管理職はどうなったか。
前述のトラブルから日も浅いうちに、突如、彼は日の当たらない職場に左遷になってしまった。
「単なる会社でのポジションパワー」を自分の「人間としてのパワー」と勘違いするような人間は、待っていれば、結局は組織からスポイルされるということかもしれない。
組織とは、案外捨てたものじゃないのだ。
