2007年8月アーカイブ


高校野球夏の甲子園が22日に佐賀北高校の優勝で幕を閉じた。
リアルタイムで試合を観戦することは出来なかったが、毎晩結果を楽しみにニュースを見ていた。決勝戦が終わった後にいくつかのニュースを見ていて気付いたことがある。

・佐賀北高校(夏:優勝)
・常葉菊川高校(春:優勝、夏:ベスト4)
・大垣日大高校(春:準優勝、夏:ベスト8)
3校とも非常にすばらしい成績を上げたチームである。しかし3校ともいわゆる伝統校ではない。ここ数年で急速に力をつけてきた高校なのだ。
この3つのチームにおいてある共通したことがある。それは3校とも従来の管理型のチーム運営をやめたことだ。
「社会が変わり、今はスパルタよりゆとりを重んじている」とは帝京高校の前田監督の言葉である。高校野球といえば厳しい練習にスパルタ指導、練習以外の私生活まで管理されているイメージがあった。しかし今はそれではチームを強化することは出来なくなってきている。

我々がお手伝いをさせていただいている企業でも、同様の話を聴く事がある。先日もある企業で「ここ最近の若手は従来のマネジメントや指導ではついてこない」「若手とコミュニケーションが取りにくいという管理職が増えてきている」という話を伺った。
私はそんな時に必ず質問することがある。
「すべての管理職がうまくいっていないわけではないですよね?うまくいっている方々はどのようにマネジメントされているのですか?」

色々な答えがあるが、突き詰めていくと、成功している管理職に共通しているのは、管理職自身が「自部門をどうしていきたいのか」というビジョンを明確に語っていることだ。目標観がはっきりするからこそ部下もその中での自分の役割も明確にすることが出来るのだ。

優勝した佐賀北高校の主将のインタビューの中でこう語っている。
「厳しいことを言うのは自分の役割だと思っている」

放任型マネジメントも管理型マネジメントも一つの手法にすぎない。その手法を使ってどのような職場を産み出したいのか?そこが重要なのだ。そこから部下や組織の自主性も生まれてくる。目標観のないところに主体性は存在しない。

8月21日(火)に特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(http://www.rmcaj.com/)様との共同開催のセミナー「組織変革による生産性向上のためのリーダーシップ・セミナー ?内部統制時代のリーダーに求められる資質?」を実施させていただきました。

お忙しい中ご参加いただいた方々、ありがとうございました。

次回は10月25日(木)に日本リスクマネジャー&コンサルタント協会様との共同開催を予定しております。詳細が決まり次第、ご報告させていただきます。

公開セミナーのご案内

公開セミナーのご案内を更新致しました。


特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(http://www.rmcaj.com/)様との共同開催のセミナーとなっております。
8月21日(火)の開催です。

お問い合わせはTEL: 03-3497-5033、またはメールseminar@cci-network.comまでお願い致します。

ご参加を心よりお待ちしております。

何を伝えるのか

先日のドラッカー勉強会の中で、ドラッカーがコミュニケーションについて語っている言葉と出会った。

ドラッカーはコミュニケーションを以下のように定義している。

(1)知覚であり、
(2)期待であり、
(3)要求であり、
(4)情報ではない
コミュニケーションと情報は相反する。しかし両者は依存関係にある。

我々がお手伝いしている企業の中でも必ず出てくるのが、「組織の中でのコミュニケーションが取れていない」という問題だ。

問題の本質は企業や組織にとって様々だが、共通していると感じる原因がある。
それは、コミュニケーションを「単なる情報伝達」と捉えている事だ。

先日もある企業を訪問した時に、担当者の方からこんな話を伺った。
「今、開発部門から営業に対しての教育を実施しろという要求が来ているんですよ。
でも開発部門の人達は『売上数字が落ちている』という結果だけを見て言っているんです。
数字だけ見て営業部門の人達に教育の話を持っていったとしても、『何を見ているんだ』と言われてしまうだけですよね。」
営業部門は営業部門として、市場の変化や顧客の変化に対応するため、必死になっている。それを見ずに批判だけしてもお互い不満が残るだけだろう。

情報化社会となり、電子メールでやりとりする事が増えてきている。
データ化しやすい、業績や経営状況については、特に迅速に共有されているだろう。
しかし、それらはあくまで「情報」であり、そこにはドラッカーの言う「期待」や「要求」は含まれていない。
それどころか、データが大量に共有される事で、「知覚」すらされていない事もあるのではないか。

「コミュニケーションを成立させるものは受け手である」とドラッカーは言っている。
情報共有、意思疎通というのは、実は発信ではなく、どう受けとってもらえるかに価値がある。
そして、相手がどう自分の発信を受信しているかは、リアルタイムでのやり取りで感じるしかない。

我々のお手伝いでは、まさに「期待」「要求」を「知覚」してもらう、ドラッカーの言う「コミュニケーション」が成立した瞬間を作っていく事が鍵になる。

改めて自分達の取り組んでいる事の価値に確信が持てた。

フルコンタクト

趣味で通っている空手道場で昇段連続組手試験が実施された。
昇段連続組手とは、複数人の相手と次々に組手を行うものである。
いわゆるフルコンタクト(直接打撃制)のルールのため、最後はボロボロになる過酷な試験だ。
たまたま自分が入門の切っ掛けを作った後輩がその試験を受けることになり、「縁のある先輩だから」ということで、私が連続組手10人の最後の相手(対手)に指名をされた。
名誉なことだが、受ける私の心境は複雑だ。
後輩には最後まで倒れずにこの試練をクリアしてほしいという気持ちもあるが、反面、相手が組手の途中で闘争心が途切れ、所謂「心が折れた」状態になれば、先輩として容赦なく倒さねばならない義務がある。

いよいよ、その後輩の連続組手が開始された。
対手としての順番を待ちながら後輩の一人目との組手を凝視する。
その後輩の姿が我々の日々のコンサルテーションの場面とオーバーラップしてきた。


弊社でやっているコンサルテーションは、組織の表面に出ている問題を解決するようなものは少ない。
現状をビジョンに結びつけるための構造的要因を掘り下げ、そのまた奥にある企業風土や組織パラダイムまで切り込んでいく。
組織の「根っ子の問題」まで切り込むのだから痛みも伴う。
既存の価値観との衝突も起こる。
パンドラの箱が空いてしまうことだってある。
そうした痛みを乗り越えながら問題を掘り下げ、ビジョンを明確化し、解決策を模索するのだ。
もちろん寸止めは許されない。
本質的な解決策を打つために、あくまでもフルコンタクトで問題に対峙していく。
組織の根っ子の問題と言うのは、論理性だけでは割り切れないものもある。
もちろん意識の問題だけでも割り切れない。

「何故、この現状が変えられないのか」
「その現状の根底にはどのような構造的要因があるのか」
「その構造的要因を何故今まで変えられなかったのか」
正に連続組手のように、次々に根深い問題が掘り起こされ、それに対しての葛藤が繰り返される。
万一我々が「心が折れた」状態になれば、その瞬間に組織変革コンサルテーションは失敗するだろう。
しかし、そんな緊張感の中だからこそ、終わった後の達成感はとてつもなく大きいのだ。

つい先日も、あるコンサルテーションが成功した瞬間に、クライアントの担当者と思わず硬い握手を交わした。
この達成感を味わいたくて、我々はまた葛藤の中に飛び込んでいくのだ。


ふと現実に戻ると、昇段連続組手ではいよいよ自分の番が回ってきた。
向かい合った後輩は、肩を大きく上下させ、体力も精神力も既にレッドゾーンを超えているのが見て取れる。
それでも、自分は開始の合図とともに容赦なく攻撃を繰り出す。
「心が折れないでくれ!」と祈りながらも、手は休めない。

終了の合図とともに歓声が沸きあがり、後輩は無事、師範より昇段の認可を得た。
泣き笑いするその顔は、本当の達成感を得たものだけが許される表情だった。

背景にあるもの

8月に入って梅雨も明け、夏休みで出かける人も増えてきている。
この時期に電車で移動していると家族で遊びに行っている家族が目につく。
先日も横浜の企業に訪問した時にちょうど親子で出かけている家族を電車の中で見かけた。
「ねぇ?何で?」「どうして?」
子供が大きな声でで父親に対して問いかけている。
最初は丁寧に答えていた父親もだんだんと答えなくなっていく。
仕舞いには「そういうもんなんだ!!」と少し怒り気味に答えていた。
そんな家族を見て微笑ましいと思っていたのだが、ふとある企業の担当の方との話を思い出した。

この企業は外食のチェーン展開を行っていて数年前からオペレーションマニュアルの徹底を課題とし色々な施策を行ってきた。
なかなかうまくいかずに試行錯誤の時期が続いていた。
最近になってようやく本当にマニュアルが実践されていると実感がわいてきたのだと話をしていた。
「何が一番の変化だったんですか?」と私が質問したところ、
「別に特別なことはやっていません。ただマニュアルのベースになることを徹底的に伝えたんです。」と少し得意げに話してくれた。
1つ1つのオペレーションの意味やその背景にある考え方を伝えることからはじめたのだ。
その背景と理由が理解出来たことで今まで忙しい中で「面倒だからいいや。」と感じていたことも「面倒だがやっておこう」と変わったのだ。
この変化がマニュアルの浸透に大きな成果をもたらしたのだ。

確かに特別なことではないのかもしれない。
しかしどれくらいの組織でこのことが実践できているのだろうか?
上述したクライアントの話を他のクライアントと話をしていたらその方は「同じことが目標管理の面談で出来れば、職場内コミュニケーションの問題の多くが片付くんですがね・・・・。」とため息をついた。

そうなのだ。我々も「ビジョンが浸透しない」「目標管理が機能しない」という相談を受けることは数多くある。
そういった際多くの組織で起こっているのが目標数字や業務内容は伝えているのだが「どうしてその数字が必要なのか」「それをやる上でどういった期待をしているのか」ということが伝えられていないということなのだ。

マニュアルやビジョンは伝えることが目的なのではない。
実際に行動していくことが求められている。
人が動きだすのは、その背景や自分自身への期待がはっきりと伝わったときなのだ。
経営陣の出した指針や目標数字を伝えるだけではだめなのだ。10月には多くの組織で下期(もしくは新期)に入る。そのための振り返りや目標設定の面談がこれから行われるであろう。
この夏にもう一度その面談のあり方について考えてみてはいかがだろうか。
「そういうもんなんだ!!」を押し付ける上司にならないために・・・。