2007年10月アーカイブ

真のリーダー

この仕事をしていると、すごい人に色々出会える。
経営者の方ははもちろんだが、たとえ20代の若手であっても尊敬できる人がいる。
Aさんはそのような若手の中でも特に印象深かった人だ。

Aさんは小柄な女性で、自社製品の修理を担当するサービス部門に配属された。
実際の修理はパートナー会社が行うが、そのマネジメントをするために新人は現場を担当する。
彼女も修理のために顧客のところを回っていた。
手を動かして修理をするサービスマンは圧倒的に男性社会だ。
女性のAさんは、「女に修理やサービスができるのか」と厳しく言われる事も多かったらしい。
しかし、持ち前の粘り強さで「女性でも立派にサービスマンは出来る」ことを証明しようと頑張っていた。

粘り強さを発揮し、修理の技術力はどんどん向上していったそうだ。
ところがある時、修理はしてもお客様が満足しないという事態が発生した。
自社の機械を修理したのだが動かないのである。
当然お客様はクレームを言う。
「直っていないじゃないか」
「いや、ちゃんと直っています」
「直っていますって、動かないじゃないか!」

よく調べてみると、本当の問題は機械そのものではなくネットワークにあった。
お客様のニーズは機械が直る事ではない。その機械とネットワークを使って自分が欲しいものを得る事にあるのだ。
当時のAさんにとってネットワークは専門領域外だった。
しかしそれに応えなくては真の顧客満足は得られない。

そこでAさんはネットワークの勉強を始めた。
普段の業務量は多く会社をでるのが深夜になる事が大半で、家に帰り付き食事や入浴をすると日が変わる。
しかし、そこから明け方まで勉強をし、数時間寝て出社するという日々を過ごし、公的なネットワークの資格を取った。
まず自分自身が問題を解決できるようになったのだ。

その上で、彼女は同僚や先輩にネットワークに対応したサービスを立ち上げる事を提案した。
同じような問題に悩んでいる人は思いの外多く、30名の賛同者が表れた。
彼女の所属していたエリアだけではなく、全国から回答があったらしい。
サービスマンとして同じ悔しさを感じていた仲間の共感を得たのだ。

これだけでも入社数年の社員の行動としては十分尊敬に値する。
が、彼女がすごいのはここからだった。

ネットワークのサービスを立ち上げる時に新たな問題が発生した。
自分の直属の上司の賛同を得られず、抵抗勢力になってしまったのだ。
直属の上司を飛び越えて提言したものの、その上司の上司も動いてはくれなかった。

そこで彼女は全く繋がりのない別エリアの管理職に相談した。
その管理職は影響力が強いため、自分の意見に賛同し、行動してくれる可能性に賭けたのだ。
彼女の熱意はその管理職に伝わった。ネットワークのサービスの立ち上げに対して強力にサポートしてくれた。
結果どうなったか。
彼女はネットワークのサービスを立ち上げるために、自分の上司を交代させたのだ。

そこまでやる彼女にびっくりした。
入社して数年目なのに課長クラスが求められる成果を産み出している。

その事を伝えると、彼女から悩みを相談された。
「30人の人が賛同してくれました。
でも自分と同じような生活を強いていいのでしょうか?
正直自分は身体を壊しました。」
自分自身の成果に奢らず、その先を見据えている彼女にさらに驚かされた。

年齢が高いか低いか、男性か女性か、などは関係ない。
彼女のような自分の意思を持ち行動するリーダーこそが、その時代に必要とされる企業を作っていると改めて実感した出来事だった。

written by O

来たる10月25日(木)に公開セミナー「組織変革による生産性向上のためのリーダーシップ・セミナー」を特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(http://www.rmcaj.com/)様と共同で開催致しました。

お忙しい中ご参加いただいた方々、ありがとうございました。

公開セミナーのご案内

公開セミナーのご案内を更新致しました。


特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(http://www.rmcaj.com/)様との共同開催のセミナーとなっております。
10月25日(木)開催です。

お問い合わせはTEL: 03-3497-5033、またはメールseminar@cci-network.comまでお願い致します。

ご参加を心よりお待ちしております。

価値を産み出すための葛藤

全くタイプの違うプロの音楽家と食事をご一緒する機会がたて続けにあった。
お一人はロック、お一人はクラシックと正反対のジャンルで活躍されている。

最初にお会いしたのは、マスミサイルというロックバンドのボーカルの高木芳基さん。
彼は、某著名バンドに衝撃を受けて、バンド活動を始めたそうだ。
ところが、メジャーデビューをしようという直前にある人から
「貴方のバンドを聴くんだったら○○の音楽を聴けば充分だね」
と言われてひどく悩んだという。
好きだからこそ自然とスタイルは似てしまう。
一方で先駆者と同じスタイルをではいつまでも代用品のポジションを抜け出せない。
それに気づいた高木さんは、苦労して独自のスタイルを確立した。
これは正に企業におけるブルーオーシャン戦略に通じる。
一定の評価を得た今も、更に新しいスタイルに挑戦しようとしている。

次にお会いしたのはソプラノ歌手である岡本佳織さん。
彼女はもともと演劇、それもアンダーグラウンドの世界に夢中になり、演劇人としての道を目指していた。そのため、クラシックという「正統派」の世界に身を置きながらも、よりアバンギャルドなものへの思いを強く持たれている。
その中でも美輪明宏のステージなどから、シャンソンの「歌の世界を表現しつくす」ことに強く魅かれていたそうだ。
ところが最近になって、アバンギャルドの価値は認めながらも、改めて正統派の「強さ」や「凄み」というのを感じ始め、改めてご自身の「音」に向かい合っている。
正統派が正統派たらんとするためには、絶えまない革新の連続が必要だということなのだろう。

音楽に関しては全くの素人の私だが、お二人の話は非常に魅力的だった。
様々な事象と真面目に対峙し葛藤していることが共通して感じられたからだ。
もっと器用に生きることも出来ただろう。
もっと論理的に割り切ることも出来ただろう。
だが、自分のやりたいことに正直に立ち向かっているからこそ、感動が産まれるのだ。

最近、企業との関わりの中で痛感する事があった。
内面に葛藤を持たないリーダーや組織は実に弱い。
上司・株主などの外圧を感じた瞬間に歩みが止まってしまう。
私は、中間管理職が良く感じている「上と下の板ばさみ」は「悩み」であっても「葛藤」ではないと思っている。
板ばさみの中でも、自分のやりたいことを貫くために戦う時に生じるのものこそが「葛藤」なのだ。


さて、

私達は、人に影響を与えるほどに、自分自身は「葛藤」に対峙しているだろうか?
単なる「悩み」で終わっていないだろうか?
お二人の音楽家にお会いして、そんなことを感じた。

written by H

当たり前の向こう側

「メタボリックシンドローム」
ここ最近いろいろなところで耳にすることの多い言葉だ。
来年から始まる特定健診制度を前に対策を実践している方も多いのではないだろうか。
日本では腹囲が男性85cm、女性90cm以上が必須となり、血圧や中性脂肪、血糖の数値とあわせた基準を日本肥満学会が定義している。

先日、読売新聞でこの基準についてのニュースが出ていた。
どうやらこの基準値について昨年末から今年にかけて不適切であり、WHOの基準に合わせるべきではないかという議論が起こっているようだ。
いろいろと調べていたら、診断の基準が数多くあることがわかった。これまでそういったことを知らずに腹囲85cmという基準が当たり前と思っていたので非常に驚く話であった。
ここで感じたのはメタボリックシンドロームの基準の是非ではない。
今まで「当たり前」と感じていたことに対して疑問を持つことが必要だということだ。

我々が企業のお手伝いをしている時にこの「当たり前」という感覚と対峙しないといけないことがある。
コンサルタントとして関わったときに理解できない当たり前が存在することや、我々自身がその組織の「当たり前」を作ってしまうことがある。
先日もある企業のコンサルテーションでこんなことがあった。

今年の下期からの中期計画に対するコンサルテーションを実施しており、1泊2日の合宿ミーティングで社員全員で今後のビジョン・ガイドラインに対するコンセンサスをとった。具体的な行動計画への落とし込みの段階であるチームのリーダーからこんな意見が出た。
「何でビジョンを見直す必要があるんだ。これは以前に全員で話し合って納得して決めたビジョンだ。それを見直すことに意味はない。」
それに対して別のリーダーは
「以前のビジョンを否定するのではない。ただ顧客の状況や我々の環境も変化し続けている。ある一定の期間で見直しをかけることは必要だ。」
と言い切った。

最初のリーダーの気持ちは非常によくわかる。そのミーティングの場にいた一人として共感したい言葉だ。
しかし、状況は変化し続けている。
その変化によってビジョン実現の可能性がなくなる事もある。
こだわり続けることでリスクが高くなることもある。
周囲の状況を見ずに絶対的なモノとして決めてしまうのは非常に危険なことだ。

必ずしも修正したり変更する必要はない。
今の状況に本当に適切であるかどうかを「見直す」ことこそが重要なのだ。
ところがそれが絶対的なものであればあるほどに見落としがちである。だからこそ「見直す」ことで新たな視点が発見できたり、確信を深めることができる。

定期的に自分の「当たり前」を見直すことをしてみよう。新たな視点・確信が見つかるはずだ。

written by F

3年程前からある人のBlogをずっと読んでいる。
IT企業に勤めている人で、Blogには業務の中で感じた事が綴られている。
読み続けている理由は、その人に魅かれているからだ。
最初は書かれている内容の視点の高さ、広さに感動した。
しばらくして自分と同年代という事を知って尊敬と悔しさを抱いた。

その人は、昨年新しい事業にチャレンジした。
その事業は一定の成果を収めたようだが、その振り返りの中に以下のような言葉があり、考えさせられた。

「新しい事にチャレンジする時にはできるだけ大きな絵を描く。今回のチャレンジについても当初は世界を変える意気込みだった。一年たってみて、当然そこまでには至っていない。しかし、この結果を悲観して、歩みを止めてしまうのでは意味が無い。気付いた事は、Think Big, Start Smallの大切さだ。」


つい最近、同じような事を感じる出来事があった。
それは、部門一丸となって組織を変革していくために、中期のビジョンを構築するお手伝いだった。
数日に渡るミーティングで侃々諤々の議論を重ね、ようやく全員が納得するビジョンが出来た。
しかし問題が起こったのはその後だった。

どれだけ皆が納得するビジョンが出来た所で、実現が出来なければそれは画餅に過ぎない。
ではビジョンを実現するために、まず何から始めるのか。
それを決める事に皆躊躇してしまったのだ。

描いたビジョンは今迄やってきた事の延長線上にはない。
だから新しい行動を起こさなくてはならない。
一方で新しい行動にはリスクが伴なう。
結果がどうなるか行動するまで分からないからだ。

「まず結果を明確にするためのリサーチが必要だ。」
「リサーチ手法から検討する必要があるのではないか。」
「ではそのリサーチ手法の有効性は誰がどうやって検証するのか。」
その場ではしばらく堂々巡りの議論が続いた。

それを断ち切ったのは、ある若手の原体験だった。
「とにかく動いてみないと何も見えてきませんよ。自分自身もここまで成長できたのは答も見えずにまず行動してぶつかって来たからです。行動して100点取れなくてもいいじゃないですか。1つでも成果が出ればそれが次につながりますよ。」

その発言を受けて、議論は収束へと向かった。
個々が、「まず踏み出せる一歩は何だろう」と真剣に考えはじめたのだ。

Think Big, Start Small. 大きく描いて、小さな所から行動する。
その行動の第一歩は、実は論理的には決定できない。
「とにかくまずやってみる」という意思決定が出来るかどうかが、ビジョン実現の成否を分けるのだ。

前述した人は、今年はさらに大きな事にチャレンジしようとしているらしい。
自分自身もそれに負けないようなチャレンジをしていこう。

written by K

誰もが口にする「ビジョンが大事」という言葉を実感として感じることが続いた。

ひとつは、組織が大きく成長変化しているにも拘らず、
従来の企業理念の「コトバ」の部分だけを繰り返していた例であり、
もうひとつは、企業合併時に「いかなる新たな文化を構築するか」を
本当には明確にしていなかった例である。

P.F.ドラッカーは著書「チェンジ・リーダーの条件」の中で以下のように述べている。

「短期間に二倍三倍に成長すれば、いかなる組織も、それまでの定義を超えて成長しているに違いない。」

ところが前述した企業では、
「そもそも我々の目指したい存在価値は何か」という定義を問い直さないままに、
論理的に戦略の構築実行を行ってきたのだ。

結果的にどちらの企業も、長時間にわたる本音の激論と葛藤の中で、
「スローガン」ではない「血の通った自分の言葉」としてのビジョンを明確化していった。
その過程で、あるメンバーが執拗に他メンバーに聞き続けていた言葉が印象的だった。

「一体あなた自身は何をやりたいの?何故それをやりたいの?」

ビジョンは論理だけで構築できるものではない。
その根底に「何故やりたいか?」という個々の強い感情があってこそ、
組織に共有化されたものになるのだ。

あなたの会社は、そしてあなた自身は、ビジョンを「感情の入った言葉」で語れるだろうか。

written by H