当たり前の向こう側

「メタボリックシンドローム」
ここ最近いろいろなところで耳にすることの多い言葉だ。
来年から始まる特定健診制度を前に対策を実践している方も多いのではないだろうか。
日本では腹囲が男性85cm、女性90cm以上が必須となり、血圧や中性脂肪、血糖の数値とあわせた基準を日本肥満学会が定義している。

先日、読売新聞でこの基準についてのニュースが出ていた。
どうやらこの基準値について昨年末から今年にかけて不適切であり、WHOの基準に合わせるべきではないかという議論が起こっているようだ。
いろいろと調べていたら、診断の基準が数多くあることがわかった。これまでそういったことを知らずに腹囲85cmという基準が当たり前と思っていたので非常に驚く話であった。
ここで感じたのはメタボリックシンドロームの基準の是非ではない。
今まで「当たり前」と感じていたことに対して疑問を持つことが必要だということだ。

我々が企業のお手伝いをしている時にこの「当たり前」という感覚と対峙しないといけないことがある。
コンサルタントとして関わったときに理解できない当たり前が存在することや、我々自身がその組織の「当たり前」を作ってしまうことがある。
先日もある企業のコンサルテーションでこんなことがあった。

今年の下期からの中期計画に対するコンサルテーションを実施しており、1泊2日の合宿ミーティングで社員全員で今後のビジョン・ガイドラインに対するコンセンサスをとった。具体的な行動計画への落とし込みの段階であるチームのリーダーからこんな意見が出た。
「何でビジョンを見直す必要があるんだ。これは以前に全員で話し合って納得して決めたビジョンだ。それを見直すことに意味はない。」
それに対して別のリーダーは
「以前のビジョンを否定するのではない。ただ顧客の状況や我々の環境も変化し続けている。ある一定の期間で見直しをかけることは必要だ。」
と言い切った。

最初のリーダーの気持ちは非常によくわかる。そのミーティングの場にいた一人として共感したい言葉だ。
しかし、状況は変化し続けている。
その変化によってビジョン実現の可能性がなくなる事もある。
こだわり続けることでリスクが高くなることもある。
周囲の状況を見ずに絶対的なモノとして決めてしまうのは非常に危険なことだ。

必ずしも修正したり変更する必要はない。
今の状況に本当に適切であるかどうかを「見直す」ことこそが重要なのだ。
ところがそれが絶対的なものであればあるほどに見落としがちである。だからこそ「見直す」ことで新たな視点が発見できたり、確信を深めることができる。

定期的に自分の「当たり前」を見直すことをしてみよう。新たな視点・確信が見つかるはずだ。

written by F