この仕事をしていると、すごい人に色々出会える。
経営者の方ははもちろんだが、たとえ20代の若手であっても尊敬できる人がいる。
Aさんはそのような若手の中でも特に印象深かった人だ。
Aさんは小柄な女性で、自社製品の修理を担当するサービス部門に配属された。
実際の修理はパートナー会社が行うが、そのマネジメントをするために新人は現場を担当する。
彼女も修理のために顧客のところを回っていた。
手を動かして修理をするサービスマンは圧倒的に男性社会だ。
女性のAさんは、「女に修理やサービスができるのか」と厳しく言われる事も多かったらしい。
しかし、持ち前の粘り強さで「女性でも立派にサービスマンは出来る」ことを証明しようと頑張っていた。
粘り強さを発揮し、修理の技術力はどんどん向上していったそうだ。
ところがある時、修理はしてもお客様が満足しないという事態が発生した。
自社の機械を修理したのだが動かないのである。
当然お客様はクレームを言う。
「直っていないじゃないか」
「いや、ちゃんと直っています」
「直っていますって、動かないじゃないか!」
よく調べてみると、本当の問題は機械そのものではなくネットワークにあった。
お客様のニーズは機械が直る事ではない。その機械とネットワークを使って自分が欲しいものを得る事にあるのだ。
当時のAさんにとってネットワークは専門領域外だった。
しかしそれに応えなくては真の顧客満足は得られない。
そこでAさんはネットワークの勉強を始めた。
普段の業務量は多く会社をでるのが深夜になる事が大半で、家に帰り付き食事や入浴をすると日が変わる。
しかし、そこから明け方まで勉強をし、数時間寝て出社するという日々を過ごし、公的なネットワークの資格を取った。
まず自分自身が問題を解決できるようになったのだ。
その上で、彼女は同僚や先輩にネットワークに対応したサービスを立ち上げる事を提案した。
同じような問題に悩んでいる人は思いの外多く、30名の賛同者が表れた。
彼女の所属していたエリアだけではなく、全国から回答があったらしい。
サービスマンとして同じ悔しさを感じていた仲間の共感を得たのだ。
これだけでも入社数年の社員の行動としては十分尊敬に値する。
が、彼女がすごいのはここからだった。
ネットワークのサービスを立ち上げる時に新たな問題が発生した。
自分の直属の上司の賛同を得られず、抵抗勢力になってしまったのだ。
直属の上司を飛び越えて提言したものの、その上司の上司も動いてはくれなかった。
そこで彼女は全く繋がりのない別エリアの管理職に相談した。
その管理職は影響力が強いため、自分の意見に賛同し、行動してくれる可能性に賭けたのだ。
彼女の熱意はその管理職に伝わった。ネットワークのサービスの立ち上げに対して強力にサポートしてくれた。
結果どうなったか。
彼女はネットワークのサービスを立ち上げるために、自分の上司を交代させたのだ。
そこまでやる彼女にびっくりした。
入社して数年目なのに課長クラスが求められる成果を産み出している。
その事を伝えると、彼女から悩みを相談された。
「30人の人が賛同してくれました。
でも自分と同じような生活を強いていいのでしょうか?
正直自分は身体を壊しました。」
自分自身の成果に奢らず、その先を見据えている彼女にさらに驚かされた。
年齢が高いか低いか、男性か女性か、などは関係ない。
彼女のような自分の意思を持ち行動するリーダーこそが、その時代に必要とされる企業を作っていると改めて実感した出来事だった。
written by O
