2007年12月アーカイブ

思考を変革すること

2007年も年末になり振り返りや忘年会などで忙しくしている人も多いと思う。
我々がお手伝いをさせていただいている企業でも振り返りを行っていてその状況をお聞きすることがある。今年の夏からお手伝いしている企業の担当者から非常にうれしい話をお聞きした。

その企業は当初取り決めたスケジュールでは業務や社内のイベントの関係でどうしても無理が生じてしまう。そこで担当者は急遽スケジュールを変更し、かなり厳しい期間でOUTPUTを出そうと奔走していた。他のメンバーからや上司との調整では相当苦労をされたようだが何とかスケジュール調整をし、無事に次のステップに進めることが出来た。

後から話を聴いたところ部門の全体の動きを把握していたと思っていたが、完全でなかったために後手後手の対応をせざるを得なかったのが大きな理由だったようだ。彼はここで「次は先手をとります」と約束し、年度末に向けて今奔走している。

先日彼の上司から「今年の社内プロジェクトチームのMVPはあいつだよ。先日の忘年会でも表彰した。普段はチームで1つの表彰だが、今年は個人ごとに表彰したよ」との話を聴いた。
この話は我が事のようにうれしかった。夏以降の彼の頑張り・成長は部門全体に認められていたのだ。しかもこの話をしてくれた上司は非常に厳しい言葉を彼に投げかけ(叱咤激励もあるだろうが)ていたのだ。そのことで彼が悩み葛藤していることも知っていたし、こちらから厳しくフィードバックさせていただいたこともある。しかし何よりも「やってしまった、すいません。」という思考から「ではどうしたらうまく出来るのか?」という変革に成功したことがすばらしいことだと思う。

我々がお手伝いしているコンサルテーションや研修の中で「行動を変革する」「変革計画を立案する」ということを実施させていただくことがある。その中でいかに今まで自分が陥っていた思考の癖から抜け出し、行動するかは非常に重要な課題となる。そこを変革しない限り、どんな計画も絵に描いた餅になってしまう。

2007年の年の瀬になって、非常に気分のよい話を聴くことができた。
来年もこういった体験を皆さんとしていきたいと思う。

written by F

歴史から何を学ぶか

少し気が早いが、今年を振り返ってみると、多くの出会いがあった。
どの出会いも素晴しい出会いであり、自身の糧になっている。

仕事の繋がりからスタートしたが、それ以上に深い付き合いをするようになった人もいる。
なぜ仕事を越えた話ができるようになったのか。
それはその人の歩んできた歴史を聞き、その体験に共感したからだ。

「今あなたが抱いている想いはどこから産まれたのか。どのようにして今描いている将来の姿を持つに至ったのか。」
そういった質問をさせて頂くと、歴史が浮かびあがってくる。
同じような将来像を描いていても、その背景にあるものは想像もつかない程違っている。
その人が体験してきた、成功や失敗が全て今に結実している。

時には、会話をしていく事で、その人自身も気付いていなかった「今の自分を形成する原点」に気付く事がある。


同じような事が組織の中でも起こっている。
我々がお手伝いしている企業や組織は、歴史の積み重ねで成り立っている。
だが、個人とは大きく違っている事がある。
それは、その歴史全てを一人が経験しているわけではない、という事だ。

組織が成長局面にある時、その中心に居た方々は、自身の主体的な意思で成長に関わり、結果ではなくその過程を自身の成功体験とされている。
ところが、成長が長く続くと、やがてそれは当たり前になる。
その「当たり前」が出来てから組織に加わった人達は、成長の過程を体験してきた人達とは歴史を共有できていない。
段々と「成長する事」そのものが目的となってしまい、「何のために成長するのか」が見えなくなってしまう。
こういった組織は節目を向かえると、身動きが取れなくなる。

しかし、歴史を振り返り、共有する事で、光明が見えてくる。
そもそも我々の組織は何を目指していたのか、何故我々はあんなに厳しい時代を頑張り抜く事ができたのか。
そういった体験を共有していく事で、我々が核として大事にしなくてはならないものが見えてくる。
それは成長の結果である業績からは見えてこないものだ。


日々、先の読めない変化に対応している中、過去を振り返る時間を取る事は難しい。
過去の経験なんて役に立たない、と感じる事も多々ある。
だが、今の自身、組織を形成しているのは今迄の積み重ねなのだ。
何故今があるのか、そこを見つめる事が次への一歩の指針となる。


この一年を振り返り、来年に向けた第一歩をどこに踏み出すか。
改めてそういった時間を作る事を決意した。


written by K

韓信の股くぐり

ちょっと前のことになるが、福田首相が野党の追及に耐えていることをアピールするために、
「私はまさに『韓信の股くぐり』だ」とニュースでのインタビューに答えていた。

実は、この「韓信の股くぐり」というのは、私の大好きな言葉である。


ご存知の方も多いと思うが、韓信とは中国の秦末から漢の時代にかけて活躍した武将である。
彼は若い頃、町でゴロツキに囲まれ、
「お前は背が高いが、実際には臆病者に違いない。その剣で俺を刺してみろよ。
それが出来ないならば俺の股をくぐれ」と挑発された。
韓信は黙って股をくぐり、周りからの嘲笑を受けた。
彼は「恥は一時、志は一生。自分が本当にやりたい大きな目的のためには、時には敢えて屈辱に絶えることが大事だ」
と冷静に判断していたのである。

この逸話を「韓信の股くぐり」という。

先日、ある社長が「営業マンって場数が大事っていうけど、場数踏んでもスキルになる人間とそうでない人間がいるよね。」という話を仰っていた。
では、その違いは何かというと、その場数の中でどれだけ「韓信の股くぐり」をしただろうという結論になった。
感情が伴なった体験こそが初めて経験になるということである。
確かに私自身も、現在良いお付き合いをさせていただいている企業においては、
営業の段階では「大きな志のためにの悔しい思い」を乗り越えてきている企業が多いことに気がついた。
どんな屈辱的な場面があったとしても、その向こうに変革を必要として頑張っている人が見える限り耐えられてしまうのだ。


このブログをお読みの方も、色々と悔しい思いをすることは多いだろう。
でもその時に、この韓信の逸話を思い出していただきたい。
大きな志を目標と置いた時に、今は敢えて股をくぐるという選択肢もあるということだ。
そして例え屈辱にまみれても、志を忘れずにさえいれば卑屈にはならないのだ。


自分の部屋に飾ってある、何年も前にとある書家から頂いた色紙にもこう書いてある。

「踏まれても根強く生きる雑草のやがて花咲く春の来るなり」


written by H

このblogでも何度かご紹介させていただいているが我々が参加しているドラッカー学会の第2回の総会が11月25日に早稲田大学小野記念講堂にて開催された。
今回は約150名ほどの参加者が集まり、「21世紀,あるべき実業の思想」というテーマの基に10名の講演とパネルディスカッションがあり非常に興味深い大会であった。

個人的に一番印象に残ったのはドラッカー学会理事である野中郁次郎先生の「賢慮型リーダーシップと知の方法論」という講演であった。これまでも様々な講演や書籍において「賢慮型リーダーシップ」について発表されておりご存知の方も多いと思う。
恥ずかしながら今回初めて耳にした言葉であったために講演の時には「なるほどなぁ」と聞き入ってしまったのだが、興味深かったので学会終了後に少し「賢慮型リーダーシップ」について調べてみた。

野中先生は「賢慮の基盤となるものは、教養と至高体験である」とし、「マネジメントはScienceであろうとすると同時にArtである」と述べている。
そしてこの考え方の根底にある考え方を「人間理解」と表現している。つまりマネジメントおいてHow toは重要ではあるがその前提には「人間理解」が必要なのだ。

ここにきてようやくなぜ自分が野中先生の講演を興味深く感じたのかがはっきりと理解できた。第2回総会の前にある企業の教育担当者の方と話をしていた時に感じていた違和感だ。
その会社ではかなりしっかりとした教育体系を組んでおり、長期にわたって様々な研修を実施してきている。ここ最近になってマネジメント層において研修後の成果に大きな差が出てきており、解決ためによりスキル的(ノウハウ的)なプログラムを強化していきたいと考えているという話であった。
繰り返し学ぶ場を提供することで身につけられることも多いだろうし、ノウハウが必要なことであることを否定するつもりはない。しかしどうしても1点気になったことがあり、聞いてみた。

「御社の管理職の方々は、部下への期待や興味を持っていますか?」

その方は、しばらく考え込んでしまったのだが、「そこに差があるかもしれない」と話をしてくれた。

ここで知りたかったのは部下の仕事ぶりや業績ではなく、1人の人間として興味や期待を持てているかどうかである。それがない方がどのような知識やスキルを学んでも成果につながることは非常に難しいと思う。このこと自体は別に目新しい話ではない。しかし、職場においてこういったことはよく起こっている。組織の中にいるとそういったことに対して気づきにくいのかもしれない。しかしマネジメントを強化していくとは、こういった基本的なことを自分なりに積み上げていくことで確立するのではないか?

年末になり、来年度に向けて様々な計画を立案する企業が増えていると思う。
改めて自分に問いかけてみよう。

「あなたは○○(部下・社員・自社・顧客など)に興味を持っていますか?」

written by F