2008年2月アーカイブ

真山 仁さんの小説「ハゲタカ」を読んだ。
外資ファンドの日本人社長と銀行員から企業再生家に転じる男を軸にした話である。
NHKでドラマ化されたものは観ていなかったのだが、小説に感動し、DVDまで購入してしまった。

小説からもドラマからも実に色々なことを考えさせられた。
ひとつには、当然のことではあるが、
企業存続において従業員のモチベーション維持がいかに大きな課題かということだ。
現実の企業でも、特に事業再生においては「人=コスト」という論調もかつては見られたが、
M&Aやリストラの結果、重要な人財から流出してしまい、
結果的に事業戦略そのものに齟齬をきたすという話を多く聞くようになった。
「その人がその組織にいることの価値」というものを、単に福利厚生や育成の観点だけではなく
生産性の面からもきちっと捉えなおす時期にあるのだろう。

もうひとつには、我々が生きていくうえでの「誇り」についてである。
様々な企業をお手伝いする中で、組織の上層部になるほど「論理性の高い言い訳」が出てくることが多い。
仕事でもプライベートでも守るべきものが増えてくるのだから当然だろう。
理想だけではどうにもならない現実のしがらみも見えてくる。
しかし言い訳を繰り返しているうちに、自分の誇りは腐っていくことになる。

作者のHPを観ると、小説「ハゲタカ」で一番伝えたかったテーマは
「言い訳をしながら生きることはもう止めよう」ということだそうだ。

TVドラマの中では、登場人物にそれぞれの人生の転機に際して次の様に語らせている。

「私は人生の折り返し地点はとっくにすぎました。でもこの先、自分自身に言い訳しながら生きるには長すぎます。」
「巨額の退職金を提示され、それを受け取れば向こう10年間同じ仕事にはつくなと言われました。でもそれは自分にとって死ねということです。」

ほとんどの会社には人事評価制度があるだろう。
しかし、自分を本当に観察し評価しているのは、上司ではなく自分自身なのだ。
その「自分自身という評価者」に胸の張れる生き方が本当にできているのか。
いつのまにか言い訳が習慣になっていないだろうか。

現実は綺麗ごとだけではすまないのは百も承知の上で
「ハゲタカ」を読んで、改めて自分自身にも問い直したくなった。

written by H

若手社員の目指す姿

2月に入って各企業で09年度4月入社への採用や
この4月入社の新人の受け入れ準備も始まってきた。
4月に向けてこれからかなり忙しくなる方々も多いのではないかと思う。

先週は我々も昨年4月入社の新人フォロー研修を実施させて頂き、
10ヶ月ぶりに会う彼らの変貌に驚くと同時に、自分自身が彼らの頃を思い出していた。

私が大学を卒業して入社した前職の時に常に考えていたことがある。
それは「この先輩のような営業マンになりたい!!」ということだ。
自分よりも2年先輩であったその方は、社内でトップセールスというタイプでは無かったが
仕事やクライアントはもちろん関連部門の方への姿勢だけではなく、
生き方そのものが非常に魅力的であった。
今での自分が彼の影響を強く受けていると感じているし、そういった出会いに非常に感謝してる。

身近に目指す対象があると日々の業務にも張り合いが出るし、若い頃に受けたインパクトは
長い職業人生において1つの指針となることが多い。

そんなことを考えていた矢先に、先日、数年前から訪問している企業で
人材開発を担当している方からある研修の提案依頼を思い出した。
その企業では入社5年目ぐらいまでの社員を8-9年目に当たるリーダーが
チーム長としてマネジメントしているのだが、このリーダーがどの拠点を見渡しても
元気が無くなっているために何とかしたいという内容だった。

話の中で一番衝撃を受けたのは、多くの若手社員が
「今のリーダーを見ているとチーム長という立場にはなりたくない」
という話をごく普通にしているということだ。

この企業においてチーム長とは一番身近にいるマネジメント職(管理職ではない)である。
私が最初に訪問した頃は「チーム長のようなリーダーになりたい」という若手が非常に多かった。

それがわずか数年で大きく様変わりしていることに驚きと怖さを強く感じた。
様々な外部環境の変化でリーダーやマネジメント職に求められる期待が大きくなってきている。
その中で様々な業務に忙殺されてしまい、その姿を見て若手社員が上記のように感じたのであろう。

ここまで考えたときにふと今の自分を振り返ってみた。
毎日ただ仕事や時間に追われてはいないだろうか?
本当に自分の目指す姿に向かって日々活動しているだろうか?
周囲に迎合する必要は無い。
しかし今の自分が周りからどう見えているのか?それがどんな影響を与えているのか?
これから新年度に向けての振り返りの中の1項目に加えてみてはどうだろうか。

written by F

時間の使い方

今年に入って、早くも1ヶ月が過ぎた。
期末に向けて日々忙しくされている方も多いのではないだろうか。

私自身も、この1ヶ月は非常に短かく感じられた。
昨年からのいくつかの大きな案件が、山場を迎えているためだ。
個々の案件に打ち込む事で、充実感を持った1ヶ月を過ごす事ができた。
しかしその忙しさの中で、自分自身が今年、そして中長期にどこを目指すのかを見失っているのに気付いた。
そこで、一旦立ち止まって、自分自身の今を振り返った。
その中で見えてきたものは、時間の使い方についての意識だ。

当たり前の事だが、一人の人間にとって1日は24時間しかない。
自分が使える資源として、有限である事が自明であり、どう活用するかが難しいのも時間だ。
この24時間をどこにどう使っていくか、それによって成果が決まってくる。
なので、目の前にやらなくてはならない事がある時、そこに集中的に時間を使うのは至極当然の事だ。
短期集中型のタスクをこなしていくためには、そういった時間の使い方も有効な事が多い。

だが、それを続けていくと、段々と目先の事しか見えなくなる。
目の前の事をいかに効果的に片付けるかを意識する余りに、その「目の前の事」が本当にやるべき事なのかどうか判断できなくなる。
その時に必要なのは、1週間後の自分、3ヶ月後の自分、1年後の自分から今を振り返る事だ。
自分自身もそうやって振り返る事で、改めて今忙しくしている事への確信を持つ事が出来た。
一人ですら時間を効果的に使うのは大変だ。
これが組織ではもっと大変になる。

将来に目を向けながら、今の時間を何に使うのか。
それは組織のトップ一人で決めても実現は難しく、全体のコンセンサスが必要になる。
短期的な成果も、長期的な成長も共に達成するためには、「今」どちらが大事なのか、どちらに時間を投資するのか、その観点が不可欠だ。

忙しくしているからこそ、未来から自身を振り返る時間を作らなくてはいけない。
また、それを継続し続ける事が、新の達成感と成長に繋がるのだ。

Written by K