小説&ドラマ「ハゲタカ」から感じたこと

真山 仁さんの小説「ハゲタカ」を読んだ。
外資ファンドの日本人社長と銀行員から企業再生家に転じる男を軸にした話である。
NHKでドラマ化されたものは観ていなかったのだが、小説に感動し、DVDまで購入してしまった。

小説からもドラマからも実に色々なことを考えさせられた。
ひとつには、当然のことではあるが、
企業存続において従業員のモチベーション維持がいかに大きな課題かということだ。
現実の企業でも、特に事業再生においては「人=コスト」という論調もかつては見られたが、
M&Aやリストラの結果、重要な人財から流出してしまい、
結果的に事業戦略そのものに齟齬をきたすという話を多く聞くようになった。
「その人がその組織にいることの価値」というものを、単に福利厚生や育成の観点だけではなく
生産性の面からもきちっと捉えなおす時期にあるのだろう。

もうひとつには、我々が生きていくうえでの「誇り」についてである。
様々な企業をお手伝いする中で、組織の上層部になるほど「論理性の高い言い訳」が出てくることが多い。
仕事でもプライベートでも守るべきものが増えてくるのだから当然だろう。
理想だけではどうにもならない現実のしがらみも見えてくる。
しかし言い訳を繰り返しているうちに、自分の誇りは腐っていくことになる。

作者のHPを観ると、小説「ハゲタカ」で一番伝えたかったテーマは
「言い訳をしながら生きることはもう止めよう」ということだそうだ。

TVドラマの中では、登場人物にそれぞれの人生の転機に際して次の様に語らせている。

「私は人生の折り返し地点はとっくにすぎました。でもこの先、自分自身に言い訳しながら生きるには長すぎます。」
「巨額の退職金を提示され、それを受け取れば向こう10年間同じ仕事にはつくなと言われました。でもそれは自分にとって死ねということです。」

ほとんどの会社には人事評価制度があるだろう。
しかし、自分を本当に観察し評価しているのは、上司ではなく自分自身なのだ。
その「自分自身という評価者」に胸の張れる生き方が本当にできているのか。
いつのまにか言い訳が習慣になっていないだろうか。

現実は綺麗ごとだけではすまないのは百も承知の上で
「ハゲタカ」を読んで、改めて自分自身にも問い直したくなった。

written by H